静かに首を絞められるような恐怖

篭目村。
北に山、西に道、東に川、南に平野。四神相応の地に、九年に一度の大祭が近づく。

この作品の恐ろしさは、派手な怪異ではなく「空気」にある。統一された景観、子供が多すぎる山村、七福神なのに六つしかない祠——設定の端々に仕込まれた違和感が、読み進めるほどに首を絞めてくる。

招かれた退魔師たちの専門性の違い(エクソシスト、修験道、陰陽師……)が群像劇としての厚みを生み、偶然迷い込んだ兄弟の正体が明かされる瞬間の反転も鮮やか。

そして何より、この重厚な和風ホラーに「メイド」を配置する大胆さ。美央の存在が、閉鎖的な村の異様さをかえって際立たせている。

文芸としての筆力に裏打ちされた、本格和風ホラー。
じわじわと浸食される恐怖を味わいたい方に。

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