真っ白な雪景色と凍てつく大地。
この物語の「ダンジョン」はさながら雪山のようで、主人公は旧友の行方を追って冒険に出ます。
そんな冒険の最中、主人公は様々な災難に見舞われつつ、困難を乗り越えていきます。
主人公の特殊能力、新たな出会い、そして機転を利かせた逆転など……。
この物語の冒険は、他の物語とは毛色が異なる印象でした。
そんな幻想的で、独創的な世界を楽しみたい方には、とっておきの作品だと思います。
私が最も気に入っている場面は、火竜が登場するシーンです。
白の雪原に炎を身にまとったドラゴンの姿は恐ろしくて、圧巻でした!
第10話まで読みました。ファンタジーなのですが、舞台が雪山の中。そのためか、描写がいかにも寒そうで、臨場感があります。一方で、人間関係の描写はウェットで、雪山描写との対比がこの作品ならではの読み心地を生み出しているように思いました。
ファンタジーではあるものの、流行りのもののような今風の要素はほぼありません。正統派で骨太です。今風のファンタジーも楽しいのですが、こういう作風の作品からしか味わえない面白さがあるんだなと、改めて実感しました。
10話まで読んだ印象では、先への引きはそこまで強いという訳ではないのですが、登場人物のかけあいが軽妙で、キャラクタードラマとして十分魅力的。それだけでも先を読みたい気持ちにさせてくれます。また、緊迫感溢れるシーンと緊張感が緩むシーンのバランスが良いのもポイントです。
一風変わった舞台で、正統派ファンタジーならではの面白さを味わわせてくれる物語だと感じました。
楽園を目指す冒険譚として読み始めましたが、物語が進むにつれて世界観の奥行きと登場人物たちの葛藤に引き込まれていきました。
主人公カレンは、力で押し切るタイプではなく、魔力感知や判断力で仲間を支える存在として描かれており、その成長過程がとても丁寧です。迷いながらも前に進もうとする姿には自然と感情移入できました。
仲間たちとの関係性も心地よく、意見がぶつかる場面でも簡単に答えを出さない描写が、この物語に深みを与えています。
また、「楽園」という言葉のイメージが少しずつ揺らいでいく構成が印象的で、単なる冒険ファンタジーに留まらないテーマ性を感じました。
キャラクターの感情や世界設定をじっくり味わいたい方におすすめしたい作品です。続きを楽しみにしています。
そこに行けば、どんな夢も叶うという。
どこかにあるといわれて、みんな行きたがる遥かな楽園。
ただ生きることだけでも苦しさに満ちたこの世界で、多くの登山家がそこへ旅立ったが、
その道のりは、あまりにも遠いものだった――。
物語は、圧倒的に過酷な環境で幕を開ける。
吹きすさぶ氷と雪、薄い酸素、極度の低温、生命の一切を否定する極地。
ヒマラヤ山脈のエベレストよりも遥かに高い高度1万メートルに、少女・カレンはいた。
そこが地球ならば、暴風が吹き荒れる対流圏の入り口であり、気温はマイナス50度にもなる。
魔法の力を使っているとしても、常人にはたどり着けない死の世界だ。
だが、彼女はその極限下でクレバスに転落、重傷を負う。
(こんな所で、死ねない……!)
少女の叫びを聞き届けたのは、フレイルとイリーナ、2人の登山家だった。
「俺らに助けられる手立てなんてないぞ!」
「嘘! あるでしょう! 一発限りのとっておきが!」
この3人の出会いが、それぞれの運命と、世界を変える。
なぜ世界がこうなったのか? 楽園とは何か?
3人が命を賭して手に入れたいものは、そこにあるのか?
――楽園とは、心の中に生きる幻なのか。