女子の〝フツウ〟に戸惑う少女が一歩踏み出す──友情の物語
- ★★★ Excellent!!!
「ひいきじゃない?」
教室にしみついた、目に見えない温度差と
女子グループの空気の重さ。
わたしの視線は
その〝なんとなく〟の居心地悪さを
痛いほど正確にすくい上げていきます。
オーディション
先生の指名
噂話──
誰もはっきり悪者じゃないのに
少しずつずれていく
〝フツウ〟と〝チガウ〟の境界線。
その中で、わたしの鈍さと優しさが
読んでいて小さな救いとして胸に残ります。
保健室
絵本
カレーの匂い。
すべてが、ささやかな日常のワンシーンなのに
子どもたちの世界では
友情の始まりにも
終わりにもなりうる分岐点──
〝フツウの女の子〟になれない苦さと
それでも誰かを知ろうと一歩踏み出す勇気が
静かに
あたたかく胸を満たす一編です。