少女未満のふたりが、作品を通して出会い直す──夏の一瞬

「女の子って、めんどう。」

その一言から始まる早苗の語り口が
とにかく等身大で刺さりました。

群れの空気に合わせきれず
男子とつるむようになった
〝わたし〟が出会うのは──

静かにものを作り続ける少女、由衣。

夏のアトリエ・レインボーで描かれるのは
大きな事件でも劇的な恋でもなく
〝作品〟と〝からだ〟と〝ことば〟をめぐる
ほんの一瞬の出来事。

けれどその一瞬が
子どもと大人のあいだに立つ
〝少女未満〟の心を

まるで色糸を掬うように優しく
そして、鋭く救い上げていく──

息をひそめて見守るうちに
自分の中にもあった
〝守りたいもの〟や
〝言えなかったありがとう〟が
ふっと浮かび上がってくるようでした。

最後の一行で
タイトルの「みつけた日」が
胸の奥でそっと音を立てる――

静かで、でも確かに忘れがたい一篇です。

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