波の幻想の彼方にある光。
- ★★★ Excellent!!!
海は、空の彼方にある宇宙の広がりと
同じぐらい未知の世界であると聞いた事が
ある。この地球上の約七割を占める
巨大な水は、安らぎや糧を齎すだけでなく
時には抗う事の出来ない脅威ともなる。
海は黙示して、只波の音のみ響かせて。
足元には瀕死の魚が口を開けて、乞う。
海の彼方へと投げてやるが、自らは一体
何を乞うというのだろうか。
影が、纏わりついて離れない。
大海原は根源的な恐怖を齎すが。もう既に
それも荒濤に洗われて奪い去られて行く。
作者の幻想的で不穏な寓話は、畏ろしくも
厳かな空虚に紛れ、圧倒的な感慨と映像を
呼び起こす。
海は、恐ろしくも優しい。
万物の母なるもの。
これは絶望の先にある光の物語。