最近話題の「熊」を題材にした作品です。
今年は様々な痛ましい事件がありました。亡くなった方や傷つけられた方の無念を思うと、心が痛くなるばかりです。
しかし一方で、熊がこれほど猛威を振るうようになった遠因は私たちにあります。自然との共生を謳いながら、人間は開発を止めず、止まられず、今日の状況を生み出したわけです。
では、どうするべきなのか。
答えは簡単ではありません。自然を愛する猟師たちですら、目の前で人が襲われれば、引き金を引くしかありません。今さら人々の営みを奪ってまで、熊に住む場所と食べ物を渡す道理もありません。結局このまま、熊の被害は増え続けていくでしょう。
そんなことを考えさせられる作品でした。素晴らしかったです。
自然の中では、ヒトは矮小である。
取り分け、それを実感させてくれる北の
大地。針葉樹が天に向かいその刃の様な
樹影を深く濃くして行く
カムイモシリの森
その地では今でも全てが神であり又、畏怖
する対象である。梟も熊も鮭も海豹も。
全てが神として崇め讃えられていた。
嘗てそこではアイヌの人々が礼儀正しく
神々を祀りつつ暮らしてきたが、いつしか
様々な人々が入り乱れて
都市を創って来た。
それはまさに彼岸の際にまで。その傲慢な
勢力を伸ばして行った。
キムンカムイはいつしか
ウエンカムイと成らざるを得ず
母を喪う悲しみや怒り、そして苦しみは
カムイモシリの中だけでは決して
終わる事はない。
スタイリッシュで洒脱な作者の満を辞した
意欲的な作品。この問題提起に対して
我々は、どう応えて行けるのだろうか?
只、涙するだけでは済まされない。
何故ならばこれは、極めて個人的な最小
単位の意識の内側に存在するものだから。
多くの人々に読まれたい作品。
是非ともお手に取られる事を
心より願う。
今年の一文字が「熊」に決定した時、自分の目を疑いましたな。
なんて悲しい一文字なのだろうと。
何かのバランスが崩れれば、何かはどちらかに傾くものにございます。
例えば、美味しいからと言って偏った食生活を続ければ病気になります。当たり前ですよね。
面倒臭いからと言って運動を怠けたら、それも病気になります。これも当たり前ですよね。
ではスケールを個人ではなく環境に置き換えてみましょう。
熊の住む地に勝手に人間の施設をたてて、どんぐりの木を伐採したらどうなるか。
……火を見るより明らかですよね。
当たり前のことを人間は、災害だと言って騒ぐのです。
物語の始まりは、スキー客が熊に遭遇したところから始まります。
怪我を負いながらも役所に逃げ延び、「熊に襲われた」と言います。
それが、本当の悲劇の始まりでした。
熊には懸賞金がかけられ、
熊を撃てば動画がバズると囁かれ、
遠方からも雪国に、関係のない人間が集まり……ハンティングが始まるのです。
この地に住む、森の声が聴こえるものたちは、この悲劇を止めることができるか……?
ぜひご一読を。そして、皆様なりの答えを見つけていただけたのなら幸いにございます。