完成度の高い、青春バトルファンタジー
- ★★★ Excellent!!!
この作品は「中二心」をくすぐる設定と、感情に訴える人間ドラマが見事に融合しています。
単なる“異能バトル”に留まらず、「呪い」という形で背負わされた運命とどう向き合うか――というテーマがしっかりと描かれていて、読後には主人公・桐人の生き様に胸が熱くなりました。
冒頭の“視線の呪い”というユニークな発想が、物語が進むにつれて“吸血鬼を狩る者の宿命”へとつながっていく展開も巧み。
序盤のコミカルなトーンから、後半の緊迫した戦いと深い葛藤へと自然に移行していく構成に、作者の筆力の高さを感じました。
また、ヒロイン・さくらの描写も秀逸です。
彼女が抱える恐怖やトラウマを乗り越え、最終的に桐人と肩を並べて戦う姿は感動的で、まさに“もう一人の主人公”と呼ぶにふさわしい存在。
桐人の“煩悩”と“正義”のせめぎ合い、そして二人の信頼関係が、作品全体に深みを与えています。