運命が立ちはだかろうと、自らの手で変えてゆくのです。

気がつくと、自分は、極めて高貴な家に生まれているけれども没落する定めにある、自分がかつて読んだ小説の登場人物であることに気づく。

テンプレに見えて本作はひと味違います。原作は『紅楼夢』という中国の古典。Wikipedia によると、18世紀中盤に執筆され、当作を研究する学問は「紅学」と呼ばれ、人呼んで「中国の源氏物語」。

こんな大物を、バシバシとねじ伏せる、爽快な力業! 悲劇と聞いていましたが、全編通して笑いっぱなしなんですけどwww

病弱でありながら美しい娘に、現代日本のパワフルな女の子の魂が宿った「羊の皮を被った狼」……いや、娘さんに失礼でしたね。持ち合わせるのは現代知識と男性に依存しない心意気。自分の健康状態から実家の財政状態と婚姻のしがらみまで、次々とやっつけていきます。ええ、ほんとうに、「やっつける」という言葉がピッタリな大暴れをして。

モットーは一言。

「人生は自らの手で切り開く」

それが出来ないこともあります。作中のコメント欄にて作者様自身が辛い経験を吐露したこともあります。それでも、みんなの望みを背負い叶えていくのが小説の主人公です。作中世界にも、本作を読む私達にも、元気を分け与えてくれます。

本作を読んだら、次は読者様の番です。自分の人生を変えたい、そう思っていいんです。

そうしたら、読者様の後ろで本作の林黛玉が笑みを浮かべています。

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