愛と毒が交差する宮廷劇、2人の距離が切なく熱い、胸を締める余韻が残る。
- ★★★ Excellent!!!
『レオナルドとベアトリーチェ』は、冒頭の『ある女の死』で毒と嫉妬の破壊力を突きつけ、その惨劇が後の宮廷へ火種として残り続ける構えが鮮やかである。愛が宝石であり、同時に危険な薬でもあるという宣言が、全体の空気を決めている。
華やかな場面ほど本音が漏れ、残酷さが際立つ。馬上槍試合で父のために振る舞うレオナルドと、女であることを刺されながら舞台に立つベアトリーチェが並ぶことで、同じ場所にいても自由の重さが違う現実が見えてくる。
舞踏会でガーターが外れ、『はしたない』と糾弾される一幕も印象的だ。レオナルドが彼女を連れ出す救いはあるが、その細さまで描かれている。さらにジュリアが媚薬を差し出す場面が、愛の劇が罠へ転じる気配を強める。前半だけでも、欲と立場に縛られた人々の『選べなさ』が緻密で、続きが気になる。
注
ネタバレを避けるため、序盤の10話程度までのレビューとしました。