喫茶店で殺されかけた30秒後、彼女は僕の手を握っていた

時系列を跳ばす構成が巧い。

冒頭、歌舞伎町の喫茶店で「1時間先の未来を見る」占い師の少年が、触れた相手の視界で「自分が斬られる未来」を見てしまう。

そこから8時間前に戻り、なぜ彼女が接触してきたのかが明かされる。温度差バディの対比が鮮烈で、吐くほど狼狽える一般人と、頭を撃たれても笑顔で立ち上がる少女の落差が物語を駆動させる。

「外道者が殺した相手の死体は消える」という設定に、主人公が妙な興味を示す瞬間。その一点で、彼の過去に何があったのかが気になって仕方なくなる。

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