冒頭から絶望感満載ですね。人類はもはや眼中になく、虫ケラ以下の存在ですらない。
そこに、現代を生きる人間の中から前世の記憶を思い出し、侵略者=転生者に立ち向かう者たちが出るわけですが……
その力を読者に開示する過程があまりにも自然。地の文からも『考える前に「できる」という確信があった』という空気感が伝わってきます。
気になる点を挙げるなら、序盤の戦闘シーンでほんの一瞬、主体が誰なのかを見失い「あれ? なんでここでこんな動きを? 根拠となる描写あった?」と感じて読み返したところ、本文に記載はあるもののとらえきれていなかった……ということがありました。
しかし、個々の場面を容易に脳内再生し得るほどの高い筆力が全体をカバーしており、さほど気になりません。まるでアニメを観ているかのようです。
神話・伝承、民俗学、それらの異説・異聞に興味のある方には特に自信を持ってお薦めします。