美しき「生」は、時として「死」よりも残酷と気付く。

ユーゴはその宝物を抱えて、どこへと向かったのでしょうか。

また、何から逃げたくて走り出したのでしょうか。


この美しき麦畑は、私たちが今日まで生きている世界の縮図であるように思います。

その美しき黄金の穂波の下には、数々の「死」が埋まっている。時として「生」は、かつて生きていた者たちの証である「死」でさえ取り込み、「生」という巨大なサイクルの一部としてしまう。大人たちはそれに抗わず、今日も口を閉ざして生きる。

若さとは、世界の定理を疑える唯一の特権なのかもしれません。いつかその宝物は、ユーゴの元から離れる時が来るのかもしれない。その時ユーゴは、この世界を美しいと思うのか、残酷だと思うのか。

その答えは、今日も口を閉ざして生きる私たちがよく知っている。

短い物語ながらも、短歌のようにリズミカルに読めるお話でありながらも、ものすごく重厚な問いかけを内包した作品です。

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