意識で駆る機体と少女の情熱が疾走する近未来青春レース譚開幕!
- ★★★ Excellent!!!
本作は、近未来スポーツ「リンドブルムレース」という鮮烈なアイデアを軸に、少女たちの成長と情熱を描き切った、非常に読み応えのあるロボットスポーツ活劇です。
意識のみを機体に送り込み、仮初の肉体で競うという設定はSF的でありながら、人間の身体感覚や精神性を巧みに物語へ落とし込んでおり、単なるガジェット説明に終わっていません。町中、水中、さらには宇宙までをもレースコースとする大胆さは、毎話ごとに舞台が更新される高揚感を生み、レース描写の迫力には自然と手に汗を握ります!
主人公・香月兎羽の描写も魅力的です。
幼少期に魅せられた競技へ真っ直ぐに向き合う姿勢は決して軽薄ではなく、勝敗や壁に直面する中で揺らぐ心情が丁寧に描かれているため、読者は彼女の熱意を「設定上の主人公補正」ではなく、等身大の感情として受け取ることができます。そのひたむきさが胸を打ち、いわゆる“胸熱”という言葉が自然に当てはまる展開でした。
また、仲間たちとの関係性も単なるチームワーク礼賛に留まらず、競技を通じて何を得て、何を学ぶのかという問いを物語全体に通奏低音として響かせています。
勝つこと、速くなること、それ以上に「なぜ最速を目指すのか」というテーマが、静かに、しかし確実に浮かび上がってくる点が印象的でした。
ロボット×スポーツ×青春という王道の組み合わせでありながら、世界観と感情描写の精度によって独自の輝きを放つ一作です。レースの興奮を求める読者にも、青春群像を味わいたい読者にも、どちらにも強く勧めたい作品!!
とにかく1話目を読んで欲しいんだ、私は。