幽世の万屋で凶運少年が輝く、「次へ」が止まらない和風ファンタジー

あやかしや神など、大きな力を持つ人外がひしめく幽世という掴みからして、もう楽しい作品です。

超絶に運が悪い高校生・平良が、困りごとを解決する万屋【華鏡堂】で、あやかしたちに囲まれて暮らすことになる──この導入だけで、先が気にならずにはいられません。

話のテンポがとても良く、次々と展開していくのに置いていかれないのが心地いい。
キャラ同士の掛け合いも軽快で、日常パートの楽しさと、緊張感のある戦闘パートのメリハリが効いています。

気づくと「次のエピソード」をクリックして、先へ先へと進んでしまいます。

【華鏡堂】のメンバーも全員が魅力的です。
見た目は美少女、心意気は気っ風のいい漢前な店主・梓朗様。

無表情な龍神の少女・識は、感情を大きく見せないからこそ、ふとした仕草や一言がやたらと可愛く映ります。

そして紫紋。普段は気さくなイケメンなのに、妖刀を持った瞬間に別人になる二面性が最高です。

そして、主人公。彼を忘れてはいけない。平良くん、彼はとにかく性格がいいから読者が感情移入しやすく応援したくなるんです。手先が器用で修復が得意という特技も非常に良い、その能力にまさかの代償というのも「上手い!」と思わず唸りましたね!

こうしたギャップが単なるネタに終わらず、緊張感と物語の深みを同時に作っているのが、作者さんの筆力の凄いところ。
誰が出てきても印象に残り、それぞれの関係性がこれからどう深まっていくのか、自然と楽しみになります。

コメディとして読みやすい一方で、平良の不運体質や能力の謎など、先が気になる要素もしっかり用意されているのも好印象。

和風ファンタジーが好きな人はもちろん、魅力的なキャラクターものが好きな人にもおすすめしたい作品です。

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