柏木椎菜

人形のお話。

小学校の時の、体験なんですけどね、

仕事帰り、喉を潤すために立ち寄った自販機。 偶然そろった数字、突然の“当たり”。 ただそれだけで、日常は静かに裏返った。 気付いた時には、見知らぬ景色の中にいた。 偶然か、選…

今日は、私の、あの子の、そして、"あなた"の、誕生日。

あそこの家で飼ってる犬さ、紛らわしいんだよ。 あ？　名前だよ名前。 本当に、その辺にいるような人の名前つけるから、なんか呼ばれてる気がしてドキッとするんだよ。

新婚夫婦のすみれと純二は、美しい花壇に囲まれた理想のアパートに引っ越してきた。 「ハウステンボス」と呼ばれるその一角は、まるで絵本のような風景に包まれていた。 穏やかな大家、可憐…

停まらないバス停の待合所には、セーラー服を着た骸骨が座っていた。

※2025/10/09 どうしてもホラーに寄ってしまうので、ジャンルを現代ドラマからホラーに変更しました！　すみません！ 急に連載を始めたくなったので始めます。一ヶ月くらいやれ…

劇的な体験が少年の心に強く残るお話

クロノヒョウ様の自主企画 『第70回「2000文字以内でお題に挑戦！」企画』 https://kakuyomu.jp/user_events/822139838415698684…

ゾンビの出現したハロウィンの一夜を描くブラック・コメディ。 コスプレイヤーの木下むつみは、ゾンビの存在に気づかなかった。カメラマンの満田光一も気づかなかった。同じくコスプレイヤ…

リフレッシュのお話。

付き合い始めて間もない彼女とのハロウィンデート。 楽しい夜になるはずだった――「落としましたよ」と声をかけるまでは。 クロノヒョウ様の自主企画【第70回「2000文字以内でお題に…

大学のサークルで出会った彼女は、料理がとても上手で、少しだけ、時間の感覚がおかしかった。 使い捨てカメラに写った、15年前と同じ姿の君。 笑って「食べて」と差し出すその手を、俺…

妻とのあいだに子ができず、夫婦仲が冷め切った男。会社の帰りに白い蝶を目にした。その空白の中に望んだ未来を垣間見る。

雪深い町で姉の死を抱いた彼は「沈黙」を悟る。 年月を経て罪を量るように人を裁き、自らもまた罪を裁かれる側へと立つとき、 法廷で彼を見つめる「私」は、姉と沈黙の正体を認めるしかなか…

翌朝、ニュースで「足羽山での変死体発見」が報じられた。 　自殺と処理され、事件性はないという。 　私は会社を休んだ。 　窓の外、雪が静かに降っている。

物陰から半身を出して現金をくれるおじさんの話です。

すべてを奪われた「私」は、犯人が捕まらぬまま時を過ごし、 やがて神にすがるように祈りを捧げる。 一方、街の片隅でインクをこぼした男がいた。 それは、ただの汚れに見えた。 だが、…

スローライフのお話。

離婚から三年、四十二歳の洋子は静かな孤独に身を置いていた。 かつて愛されたが、同時に「感じない女」として、幼馴染の夫より捨てられた記憶が深い傷となっていた。 ある夜、居酒屋で若い…

何度も黒く塗り重ねた絵の中に、まるで光のように浮かぶ黄色い円。 先生はそれを見て「月が綺麗ですね」と笑う。 その絵が月ではないと気づいたとき、もう遅かった。 ※たねありけさんの…

深夜のタクシー。 疲れた運転手が最後の客を乗せた。 晴れた夜、月は澄んでいるのに――なぜかその客は、びしょ濡れだった。 他愛ない会話のはずが、少しずつ空気が変わっていく。 笑い…

二十年を生きた猫は尾が二又に裂けて、猫又となる。

アキラには見える白髪の女。 手を振るたびに、凶事は起きる。

事故で亡くなった少年〈陽〉は、幽かな存在となって家にとどまり、 残された家族の日々を静かに見つめ続けている。 母の震える手、父の沈黙、姉の祈り。 それぞれの悲しみのかたちが、時間…

怪談蒐集が趣味の私は飲みの場で出会ったHさんから不思議な話を聞かせてもらう。曰くある時から食べても食べても空腹感につ俺さ、胃袋の中に幽霊いるんだよねぇ」 怪談蒐集が趣味の私は飲み…

短編ホラーです。

何かのボツネタでしたが、寝かせたら読めるようになってたのでサルベージしました。うんこネタ注意です。

彼を殺しました。 罪悪感で眠れません——いや、正確には“臭くて”眠れません。 洗っても祈っても消えないあの存在に、わたしは悶えています。

嘘をついた子の目には黒く映る白い人影「白黒」。 悟は、神社で野良猫に餌をやる同級生の女子を目撃する。

ある夜ネット掲示板にされた、とある書き込み。 列車の中で寝ってしまい、目が覚めて慌てて降りると、そこは存在しない駅だったというもの。 有名な都市伝説と、よく似ていますね。 けど…

　ロックグラスを前に語られる怪奇譚。 　男の話を聞き終え、オカルトライターは何を思うのか。 　お楽しみいただければ、幸いです。

堅実に暮らしてきた。でも、アレが私を狂わせた。

幸運は祝福か、呪いか。 次々と襲いかかる事故を“奇跡的”に乗り越える男と、白く光る指輪。 その果てに待つものを、あなたは目撃できるだろうか。

縁側に集う茶飲み友達の中に、どこの誰だかわからぬ人が、紛れるようになった。 日常に潜む静かな違和感を描いた短編ホラー。

冷たい雨の夜、私は小さな黒猫を拾い「ノワール」と名付けた。他人を好まず静寂を愛する私にとって、唯一の同居人となったノワールとの生活は、孤独なワンルームを温もりで満たす、かけがえの…

異常気象による食糧危機の中での、ある「食料配給事業」の説明会。 参加者にはある条件が提示された。

私は植物を育てるのが趣味の人間である。これは、私が育てた最高傑作の作品を思い返す物語である。

これはとある夢の話です。

病室に満ちる、家族の『怒り』と『悪意』。 倒れた父を見舞いに来た会社の男を前に、母と祖母の顔には露骨な嫌悪が浮かんでいた。子どもだった私は、母と祖母の仕掛けた悪意の罠に気付いて…

保育園児の息子を持つ私はある日、息子から移ったであろう手足口病にかかってしまった。重い身体を引きずりながら息子の送迎をしていると、酷暑にもかかわらず長袖長ズボン姿の父親とすれ違っ…