このタイトルを見て、真面目な医療系能力作品だと思う人はまずいないだろう。
今日は、以前ランキング巡回で読んだ作品を紹介したい。
過去におすすめした作品について、一読者としての率直な感想を語ろうと思う。
『服の下を透視する能力を得たら、あなたは何をしますか?』
https://kakuyomu.jp/works/822139841930946810タイトルだけ見ると、正直かなり誤解されそうだ。
おそらく多くの読者は、もっと別の方向の話を想像すると思う。
しかし実際に読んでみると、内容はとても真面目な作品だ。
主人公が得た能力は「服の透視」というより、人間の内部構造を視認できる能力。
骨格や筋肉の状態、体の不調などが視覚的に把握できるため、主人公は鍼灸やマッサージの分野でその能力を活かしていく。
透視能力という題材で、この発想はなかなか面白い。
能力で派手に無双するタイプの話ではなく、
「その能力をどう仕事に活かすか」という現実寄りの展開になっている。
さらに、人体の構造や治療の理屈もしっかり説明されるため、単なる能力チートではなく、医学・生物学的な裏付けを意識して書かれていることが伝わってくる。
こういう「能力+理屈」がきちんと噛み合っている作品は個人的にかなり好きだ。
実際、読んでいて「なるほど」と思う場面も多く、能力設定そのものにはかなり説得力を感じた。
タイトルの印象とは違い、「人間が人体模型のように見えてしまう」という能力のトラウマを抱えながら、それをどう社会の中で活かしていくのかを描いた真面目な物語だ。
個人的に気になる部分もあるにはある。
まず、主人公の猫好きの描写だ。
猫が好きなキャラクターという設定自体は問題ないのだが、作中でその描写が何度も何度も繰り返される。
キャラクターの個性付けとしては分かりやすいのだが、もう少し控えめでも良かったかもしれない。
だが、これは完全に好みの問題だと思う。
逆に、猫好きな読者には刺さる描写だろう。
もう一つは、ヒロインとの恋愛要素だ。
物語の主軸はあくまで能力を使った治療や仕事の話なのだが、その熱量に比べると恋愛展開はやや唐突に感じる部分もあった。
いつの間にか主人公のことが大好きなヒロインが現れていた、という印象を受けた。
医学的な能力の話がかなりしっかり書かれているだけに、恋愛部分だけが少し「取ってつけた要素」のように見えてしまう場面もあった。
とはいえ、ヒロインの視点が加わることで物語により深みが出ているのは確かだ。
能力系の物語でも、理屈やリアリティをある程度重視したい読者には十分おすすめできる作品だと思う。
本作は初期に☆3でおすすめレビューを書いているが、今読み返すと少し個人的な好みを書きすぎていた気もする。
https://kakuyomu.jp/works/822139841930946810/reviews/822139842724143703自分の近況ノートに率直な感想を書くのとは違い、作者や読者の目に触れる「おすすめレビュー」を書くのは、やはり難しいものだ。
ランキング巡回をしていると、こういう「タイトルと中身の印象がかなり違う作品」に出会うこともある。
それもまた巡回の面白さなのだろう。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。