実際に読んでみると受ける印象はかなり違う。
――これは、本格的なカウンセリングの物語だ。
今日のランキング巡回で目に留まったのはこちらの作品。
『恋愛ゲームのカウンセラーNPCに転生したら、攻略対象のヒロインを治療するたびに全員俺に依存してくるんですが』
https://kakuyomu.jp/works/822139845524406618この作品はラブコメジャンルだが、ランキング巡回ログ #8で紹介した作品と少し似た印象を受けた。
すなわち、「タイトルの印象と中身が良い意味で違う」作品だ。
「恋愛ゲーム」「NPCに転生」「ヒロインが依存」
タイトルから受ける印象は、最近よく見るヤンデレハーレム系の作品だろう。
最近のランキング作品では、ヒロインの「依存」や「ヤンデレ」要素を前面に出した作品をよく見かける。
原作知識を使ってヒロインを救い、その結果ヒロインが依存していく――そんな展開を想像して読み始めた。
原作ゲームでは、ヒロインたちの心の闇は軽く背景設定として流されていた。
しかし、前世でカウンセラーだった主人公はずっと気に掛けていた。
ゲーム世界の学校カウンセラーに転生した主人公は、ゲーム主人公である花咲陽翔の表面的な会話(ゲーム選択肢)では、真にヒロインを救うことはできないと危惧する。
そこで前世のカウンセリング技術を使い、ヒロインたちの心に寄り添っていく――。
恋愛ゲームの世界で「カウンセラーNPC」という発想を見たとき、最初はよくわからなかった。
でも読み進めると、それが単なるネタではなく、ちゃんと物語の軸になっている。
確かに、展開の骨格だけ見ればテンプレ通りだ。
主人公は原作知識を使ってヒロインの心の問題に寄り添う。
その結果、ヒロインが主人公に強く依存していく。
だが、この作品の本質はそこではない。
ヤンデレという流行のテンプレから、「カウンセリングが必要な状態ではないか」と発想を飛ばし、本格的なカウンセリング作品を作り上げている。
この発想が見事だ。
カウンセリングに関して、私は素人だ。
そのため、本作で描かれている内容が本格的な描写なのか、それともそれらしく見せているものなのかは分からない。
だが、少なくとも私には本格的な描写に見える。
それで十分だと思う。
「現場ではこうやって悩みながら人と向き合うのかもしれない」と思わせる説得力があった。
それだけで、フィクションとしての説得力はしっかり備わっていると思う。
物語の雰囲気はかなり重く、シリアス寄りだ。
そのため、一般的なラブコメやハーレム作品のように気軽に読めるタイプの小説ではないかもしれない。
しかし、主人公を巡る人間関係や、それぞれの思惑や打算が絡まり合う関係性。
ヒロインたちの言葉の裏側にある本音に、カウンセラーとしてどう向き合うのか。
そうした心理のリアリティがあり、非常に読みごたえがある。
こういう「人の心の動きを丁寧に描く作品」は、個人的にかなり好きだ。
言ってしまえば、これは――
ヤンデレハーレムの皮をかぶった心理ドラマなのだ。
カウンセリングに興味がある人や、心理の機微を追う読者には、強く引き込まれるタイプの作品ではないだろうか。
まさに、巡回ログ #6と #8で紹介した私の好みを組み合わせたような物語だ。
さっそくレビューも書いてしまった。もちろん☆3だ。
https://kakuyomu.jp/works/822139845524406618/reviews/2912051596996730246現時点でまだ40話超で連載中。これからも追いかけていきたい。
こういう作品と出会えるから、ランキング巡回はやめられない。
さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。