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ランキング巡回ログ #26 ~「俺また何かやっちゃいました?」はどこまで許されるのか~

無自覚系最強主人公は、本当に“気持ちよく読める存在”なのだろうか。


今日もランキングを巡回する。今回開いた作品はこちら。

『異世界英雄のやり直し。日本に転生したので今度こそ職人として生きます。
〜学生レベルの装備を実用レベルに調整したら国家機密級の価値がついた件〜』
https://kakuyomu.jp/works/16818622176741959044

異世界の英雄ノア・ウォーカーが、日本の探索者養成学校に通う少年・神木乃空として転生し、今度こそ「ものづくり」に没頭しようとする物語だ。

ジャンルは現代ファンタジー。
元英雄ということで中身は最強のおじいちゃんだ。
そして無自覚系主人公でもある。

正直に言えば、無自覚系の時点で私の好みからは外れている。
それでも読み始めた理由はひとつ。私の好きな“ものづくり”作品だったからだ。


本作の魅力は、異世界の感覚的な術式と、現代の論理的な数式を掛け合わせることで新しいアイテムを生み出していく、という発想にある。

ここに、どのような“化学反応”が起きるのか。
そこに期待して読み始めた。

しかし読み進めるうちに、どうしても気になる点が出てくる。

それが主人公のスタンスだ。
いわゆる「俺また何かやっちゃいました?」系の無自覚主人公である。

このタイプ自体は成立する作品もある。

たとえば『陰の実力者になりたくて!』のように、徹底したギャグコメディであれば問題はない。
『嘆きの亡霊は引退したい』のように、勘違いそのものを笑いに昇華できる構造でも成立する。

コメディとして振り切れている場合や、勘違い構造そのものを楽しむ作品ではむしろ強みになる。

しかし本作は、トーンとしてはかなり真面目な“ものづくり作品”に寄っている。

そのため違和感が目立つ。

例えば、作中ではその世界ではあり得ない性能の装備が次々と生み出される。

ビルを切断する武器
空間収納できるカバン

こうした技術は、社会構造や軍事バランスに大きな影響を与えるレベルのものだ。

しかし主人公側には、その影響への視点がほとんどない。
基本的には「また何かやっちゃいました?」で完結してしまう。
私には、迷惑系ユーチューバーを見て楽しむ構造と同じに感じる瞬間があった。
その光景が、どうしても“創造”というより別のものに見えてしまう。

このズレが、ものづくり作品としては引っかかる部分だった。

ものづくりとは本来、社会や人間に影響を与え、それをより良くするための営みだ。
その視点が欠けたまま成果だけが積み上がると、創造というより“影響を制御しない技術の放出”に見えてしまう。
“ものづくり”の結果として社会がより良くなる展開を私は期待している。
その前提が崩れると、どうしても楽しみきれなかった。

加えて期待していた技術面も、やや抽象的に処理されている。

「異世界の術式」と「現代の数式」の融合という設定は面白いのだが、
実際のプロセス描写はあまり踏み込まれず、結果として“魔法で完成”に近い印象が残る。

その結果、次第にこういう見方に変わっていった。

「次は何を作るのか」ではなく、
「また周囲が振り回されるのだろうな」という感覚である。

この時点で、私の期待していた“ものづくり作品”とはズレていたのだと思う。

最終的に今回は、キャラクターの思考と作品テーマのズレが気になり、途中で読むのを止める判断となった。

ただし、刺さる読者ははっきりしている。
無自覚な行動が周囲に大きな影響を与える構造を、コメディとして楽しめる人。
そうした読者には、十分に楽しめる作品だと思う。

ランキング作品を読むことで、こうした“相性の違い”も含めて新しい発見がある。

それもまた、ランキング巡回の楽しさのひとつだ。

さて、次はどんな作品に出会えるだろうか。
今日もまた、ランキング巡回の続きだ。

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