「#幻想恋愛」を含む小説

十年前、幸村は山奥の神社跡で、白い着物を纏った少女と出会った。 少女の名は琴葉——名も知らぬまま別れた初恋の面影は、幸村の心の奥底に静かに宿り続けていた。 時は流れ、心をすり減…

僕が通っている中学校からは、海が見える。朝も昼も夕方も、海は静かに煌めいていた。 そんな教室には、ひとつの噂があった。 夜になると窓際の席に、誰かが座っている――。 君と海と、…

死にたくない貴公子と死にかけのふさふさした獣神。 交わされた願いは、血と引き換えに──何を望む？ 噛まれた代償は、耳と尻尾と、永遠の恋？ 「神さま、責任とってくれるんですよね？…

28歳の1Kのアパートに独り暮らしの男は、アルコール依存症だった。彼は2年前に恋人の美咲を自殺で失くして以来、毎日浴びるように酒を飲んでいる。そして酔いが回った時だけは、美咲に会…

眼が鉱石となり視力を喪う運命にある画家・青池は、初恋の人である安斎の「結婚」を知る。 最期、青池は何を見たのか？

毎晩、夜桜を見に来る女性に私は恋をした……

　霧がかった世界を進み、気がつくと運河の都に辿り着く。 　幾多の階層に分かれた内の、最下層に住むことになった青年。 　彼の同居人は世界の果てを目指して冒険の旅に出かけ、時々土産を…

一話で完結する、短くて切ない恋の物語。 ふたりが出会い、心を重ね、そして別れが訪れるまで―― たった数分で読めるこの物語が、あなたの心に静かに残りますように。

夜空に浮かぶ二つの月——金の月ソルと、銀の月ルナ。 それぞれの光に守られた世界で、少年カナタと少女シオリは出会った。 互いの姿を知らず、声だけを通して心を通わせていく二人。 だが…

言葉にならない想いが、 白い風景のなかで静かに息をしていた。 雪に閉ざされた町で出会った、ふたりの少女。 存在の輪郭が曖昧な彼女を、私は絵に描くことで愛した。 ——これは、失…

主人公の余多悠貴はとある少女を助け死んでしまう。それを見かねた八雲紫が幻想郷へ招待し数多の異変を解決する。 異変の結末はいかに！

老境に入った語り手の男は、ある夏の午後、縁側で風鈴の音を聞いているうちに、かつて過ごしたひと夏の記憶を思い出す。 それは、昭和の末期、彼がまだ地方役場に勤めていた頃のことだった。…

「万璃、あたしシーラカンスになるんだって」 　高校二年の夏、万璃（マリ）は親友の碧（ミドリ）から《水棲変質症》に感染したと告白された。 　《水棲変質症》。四肢や内臓がシーラカン…

世界の終わりには、書庫がある。 そこには、語られることのなかった物語が、静かに積み重なっている。 その書庫で、魔女 アメリア はひとり、物語を紡ぎ続けていた。 けれど、彼女の書…

「僕も『鼠』のように死すべき運命なのだろうか」 喪失の痛みを抱えた青年が、地図に載らない村に降り立つ。 限界集落・霞巫峰村。そこで出会った三人の少女とその母。 村に伝わる妖しい…

これは、この世界に存在しないはずの季節を、求めて生きた二人の物語。 白は空への手紙。失われた季節のかわりに、心だけが降り積もる。 これは、世界に一つしかない桜の木の下で、互いを…

都心から離れた路地に佇むミニシアター「幻燈射影館」が閉店を迎える日の夜。長年通った「私」は、最後の上映作品『昭和の断片』を観るため、最終上映時間の座席に座る。不可思議な群像劇がス…

　恋人に裏切られ、藩士を手にかけて脱藩した清志郎はとある山の麓で追っ手に追いつかれ、深手を負い山に逃げ込んだがついに川の中に倒れ込んでしまう。 　山に住む娘、清に助けられ恋仲にな…

――ぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃぬちゃ―― 　よく挽いた魚を、つくねている時の音に似ていた。 漁村を舞台にした幻想猟奇小説。 入江が好きです。 個人的にはメルヘンラブコメです。 …

【カクヨムコン10短編部門応募作品】 陶王朝は馥宗の御代。 元宮廷画家の宦官・洛雪は陶に敗れた西方の遊牧民族・イル族の王女であった胡妃の絵姿を描くよう皇帝から命じられる。 言葉…