概要
この世界は、何かを喪失したまま廻っている。
この世界には、冬がない。
春と夏と秋だけが巡り、人は誰にも告げず、静かに“還って”いく。
千紗は、この世界に存在しないはずの「ふゆ」を描き続けていた。
彼女に惹かれ、共に過ごした一年の終わり、遥はその理由を知らぬまま、彼女を失う。
時は流れ、別の場所で、別の少年・蓮は、春の校門でかつての先輩と再会する。
それは約束の続きを受け取るための、短く、静かな時間だった。
冬を失った世界で、人は何を手放し、何を待ち続けるのか。
季節の欠落が生んだ、二つの恋の物語。