穂含月の巫女ー境界線上の蛍石ー

橘夏影

はじめに


 本作を手に取っていただき、ありがとうございます。

 作者の橘夏影(Tachibana KAEi)と申します。


 本作は、現代を舞台に「伝統と欲望」「弱き者の再生」といったテーマを描いた長編小説です。

 ライトノベル的な親しみやすさと、文芸作品の奥行きをあわせ持つことを意識し、いわば「エンタメの骨格に文学の肉付けをした物語」(頂戴したレビューより表現を拝借)を目指しました。


 中心読者は二十代~三十代の男性を想定していますが、スピンオフ作品『おかしな噺』から読みに来てくださった女性の方も多いと思います。あちらはパラレル的な位置づけでテイストが異なりますので、本作に触れて違和を覚えるかもしれません。その違いは、執筆当時の私自身の変化でもあり、作品の歩みの一部として見守っていただければ幸いです。


 また、本作にはセンシティブな設定が含まれています。これは単なる刺激ではなく、セクシュアリティや伝統と現代の衝突を扱う題材として意図したものです。ただし、描写の性質上、読み手によっては「乱暴」と感じられる部分があるかもしれません。その点も踏まえたうえで、ご自身のペースで読み進めていただければと思います。


 物語がどのように響くかは、人それぞれです。もし少しでも関心を抱いてくださったなら、どうか頁を開いて確かめてください。


 ――あなたの物語との出会いを願って。


 橘夏影



 ※なお、『おかしな噺』から入っていただいた方に向けた新説、リライトを構想中です。

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