概要
その刀は鳴いて人を狂わせる【2026/3/9ジャンル別日間短編1位!】
文吉は、どこからか響く耳鳴りのような音に悩まされていた。その源を追い求めた先にあったのは、古めかしい一振りの刀。音に導かれその刀を手にした瞬間、その耳鳴りはぴたりと止んだ。
――その刀は鳴いて人を狂わせる。
――その刀は鳴いて人を狂わせる。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!運命が 鳴る
本作は、卓越した構成を持つ時代劇である。
貧困の境遇に流される文吉。
幼い頃から文吉を苦しめ続けたのは
〝耳鳴り〟であった。
文吉は耳鳴りの音を辿る。
読む者も彼の後ついて物語を辿る。
耳鳴りの音は、文吉の枷であり導きだ。
まさしくタイトルの通り、文吉は音の傀儡であった
後年、音の元を突き止めた文吉。
ただ静けさを求めた彼の行動は、ついに一線を越える。
耳鳴りが消えた瞬間。
音に囚われた境遇から解放される。
この静寂と平穏。
それが読む者には悲しい。
耳鳴りを消す。
その一心だけになった文吉。
耳鳴りの音の強弱だけに我が身を委ねた文吉。
世間の道理から離れてしまった文吉。
もはや…続きを読む