あたたかい母さんと、
慕って寄り添ってくれる遥香さんと一緒に、
令和の知識でラーメン屋をやる物語。
話のテンポが速い。
店を始めて、工夫して、宣伝して、どんどん成り上がっていく。
気づけばわたしも
ラーメンをすすっているみたいに一気読みしていました。
ラーメン作りの知識。
経営の知識。
宣伝の知識。
これらを専門的に数字で表す頭脳派の作品です。
読んでいると、
「ラーメン屋、ちょっとやってみてもいいかも」
なんて気軽には言えなくなります。
仕込みの方法。
原価率。
客足の予想。
宣伝の仕方。
店の回し方。
バイトの時給まで、
この作品を読むだけで、一通り経験した気分になれました。
初期のコメントに、
「これからどんなひどい目に遭うのか見てみたい」
みたいなものがありました。
私も少し思いました。
最大のピンチは、「繁盛しすぎて滅!」
読後感がよく、満足感・達成感に包まれます。
ラーメンの作り方は、なんとなく分かりました。
店の経営も、宣伝の仕方も分かりました。
今、一番知りたいこと
「どうやったら、こんな小説を書けるんですか?」
ラーメン屋で食っていた父の跡を継がず、商社マンとして成功を収めていた男がラーメン屋に未練をもったまま事故死した。昭和そして平成に逆行したとき、来るべき未来を捨てて後悔のない人生を送るなら、どのような手札が残されているだろうか。
昭和や平成の時代にラーメンが幾度となくブームとなり消えていく中、令和の世にまで生き残った老練なラーメンたちを知っている。そうした三十年以上先の知識はチートだろう。
知識による快進撃もさることながら、昔ながらの人間関係の構築方法や、もう来ることのない未来との決別、といった要素がアツい。
歴史的な部分でいえば、バブル経済の崩壊の音より、意外と昔からこの店があったんだとか、このラーメン屋がこの場所で営業していたときはこんな話があったんだとかそういった部分が面白い。
たかがラーメン、されどラーメン。深みがあって中毒性の高いアブラマシマシの作品は、一度手に取ったら一気読みしてしまうこと請け合い。
【レビューコンテスト応募】
平成の時代に逆行してラーメン屋店主として成り上がる話です。
ラーメンの歴史が重厚でとても味わい深い風味となっています。
令和では色んな種類のラーメンがあるのは当たり前のことですが、当然作られていく過程があるわけで、それらを小説内で追体験できるのは新鮮でした。
立身出世ものとしてもよく、傾きかけた家業のラーメン屋を立て直していくのは爽快です。
ただうまくいくわけではなく、令和のような食材もない・機材もない、ないないずくしの妥協ばかりで進むのです。だからこそリアルさがありました。
層をめくるたび、別の表情を見せる素晴らしい作品です。ぜひご賞味ください。
人生に小さな後悔を抱えていた主人公が、過去に遡ったことで、新たな道を模索していく時代小説作品です。
主人公はエリートの道を進み続けていた男。
しかし、その脳裏には常に父のラーメン屋を継がなかった後悔が滲んでおり、どうにかできなかったのかという思いばかりが生まれています。
けれども、そんな後悔は突然の死から始まるタイムスリップによって、解消する機会に恵まれます。
第二の人生で主人公が選択したのは、迷わずラーメン屋を継ぐ道。
そして目指すのは、時代を大きく先取りする令和の味。
平成が近付く時代で作り出される最新の味は、世間にどう受け止められるのか。
ぜひ読んでみてください。