私が本当に痺れたのは、あの暗い路地裏で二人がすれ違い、火傷のかさぶたが突然うねり出して子供の声で喋り出すシーンだ。あれはマジで背筋が凍る演出だけど、何より最高なのは二人の関係性だ。記憶がすっぽり抜けて自分の名前すら覚えていない志貴と、面倒くさがりながらも警察手帳を引っ提げてツッパリ、結局は世話を焼いてしまう間下。このコンビのやり取りがたまらない。
そして、ページをめくる手が止まらなかったのが「屋上のエピソード」だ。マジで鮮やかな展開だった! 異世界の化け物とガチンコバトルでも始まるのかと思いきや、そこにいたのは上司のパワハラに潰された哀れなサラリーマン。しかも奴らと一緒にビールを飲み交わし、挙句の果てに自分は死んでおらず昏睡状態なだけで、心が勝手に最悪の悪夢を作り出していたことが発覚する。この「人間の心理が自らの悪夢を生み出す」というディテールが、物語にハンパない深みを与えているんだよな。
さらに、時計が狂って太陽が空の真ん中でピタリと止まり、時間が凍り付くあの瞬間も外せない。世界から人が消え去り、並行世界に閉じ込められたようなあの張り詰めた空気感が、リアルな筆致で描かれていて鳥肌が立つ。
最初に感じた印象は、洗練された文体、重厚で難しい内容か!?と身構えておりました(笑)
『三日以内に死ぬ火傷』という設定に惹かれて読み進めると、いやはや、これがまた面白い!
気づけば志貴と間下のやり取りを追うのが楽しくなっていました。
怪異の見せ方が不気味なのに、怖がらせるだけじゃない。
その怪異がどうしてそうなったのか、何を求めているのかまで踏み込んでいくのが面白いです。
どこかドラマ『TRICK』を思い出すような雰囲気も感じました。
(いや、全然違うんだけど!笑)
特にコインロッカーの怪異の話が個人的に好きでした。
閉じ込めるんじゃなくて開けるのが正解だったところ、なるほど!と膝を打った次第であります。
あと志貴と間下のコンビがいい。
柔らかい志貴と、口は悪いけどなんだかんだ面倒見のいい間下で、まだ出会ったばかりなのにちゃんと相棒っぽくなっていく感じが好きです。
二人の掛け合いには『文豪ストレイドッグス』を彷彿とさせるような軽妙さもあって、しかも「手をつながないと先に進めない」という設定。
この二人には妙に合っていて、ちょっと笑いました。
芋虫の火傷、記憶喪失、志貴が見る謎の記憶、現実とズレていく時間……と、まだ分からないことも多くて、この先どう繋がっていくのかかなり気になります。
怪異の謎解きとバディもの、どっちも楽しみたい人には刺さりそうな作品でした。
おすすめします!
その火傷が現れた者は、三日以内に死ぬ――。
連続する不可解な心中事件を追う警察官・間下と、自分の名前さえ思い出せない記憶喪失の男・志貴。
怪異によって同じ火傷を刻まれた二人は、生き残るため一蓮托生のバディとなります。
面白いのは、登場する怪異がただ恐ろしいだけの存在ではないところ。
不気味な姿や不可解な現象の奥には、それぞれが抱えてきた悲しみや孤独、怒りがあり、その心を紐解くことが事件を解く鍵になっていきます。
ぶっきらぼうな間下と、どこか頼りない志貴が少しずつ信頼を築いていく関係も魅力です。
怪異そのものの怖さと、人の心が生み出す怖さ。そして二人を取り巻く謎が絡み合う、ダークなバディ怪異譚です。
「その火傷が現れた者は、三日以内に死ぬ」
この強烈な設定にまず引き込まれました。
記憶を失った志貴と、事件を追う警察官の間下。性格も立場も異なる二人が、怪異によって否応なく「一蓮托生」の関係に置かれてしまう展開が面白いです。
特に印象に残ったのが、二人の距離感でした。
怪異や事件の不気味さが物語を引っ張っていく一方で、「この二人はこれからどうなっていくんだろう」という興味も強く、単なる怪異ものではなく、バディものとしても楽しめました。
「三日以内に死ぬ」という明確なタイムリミットがあることで、二人が事件の真相に迫っていく緊張感も抜群です。
怪異の正体だけでなく、志貴の記憶や、間下との「縁」がこれからどう繋がっていくのか。
続きを読み進めるのが楽しみな作品です。
正反対の二人がとある事情から命を懸けたバディとして、事件の奥に潜む怪異や想いを解きほぐしていくストーリーが秀逸です。
序盤はファンタジー感が強い導入でかなり引きがあり、その後のバディとしての活動が始まると怪異にまつわる事件を解決していく、というのが物語の流れとなります。
怪異の関わる事件はどれも怪異だけが悪いという分かりやすいものではなく、怪異には怪異の事情があり、それがとても切なく、誰かが救ってあげなければと思ってしまうものばかり。
やりきれない想いが形となったものが怪異だと私は考えているのですが、まさに残したかった、伝えたかった想いが形になった本作はとても人の心に訴えるものを持っています。
ダークファンタジーとミステリの要素が上手く噛み合い、そこに二人の困難に立ち向かう主人公像がマッチしていて、とても面白い。
心を打つ物語を探している人にはぜひ読んでほしい作品だと思います。