凝縮された現代社会の闇

 これはある絵描きの悲劇だ。
 彼女は天才だと評されていた。
 恵まれた容姿から、気象を操る天使とも言われていた。

 しかし、彼女の絵は作者の意図通りに解釈されない。天気を描いたその絵は読者たちによって不吉なメタファーとして解釈されてしまう。

 そのきっかけは新興宗教の教祖である父が起こした事件。
 渋谷のスクランブル交差点で信徒たちと共に無差別テロを起こしたらしい。

 教祖の娘であった彼女は人々から憎しみの捌け口にされた。
 天使として扱われていた彼女は悪魔へと堕ちてしまう。

 最後、彼女は自分すらも芸術作品として昇華する。
 その結果、世界に何が起きるのか……。

 作者と読者のディスコミュニケーション、人間の身勝手さ、醜さ、様々な問題がこの短編に凝縮されている。

 皆さんも是非、この素晴らしい作品を読んで、何かを感じ取ってほしいです。

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