その卵は、人肌で孵化する。
- ★★★ Excellent!!!
「卵」という言葉が、ここまで不穏になり得るのかと驚かされました。
この物語が描くのは、暴力そのものではなく、それが生まれる前の、あたたかい工程です。
善意、正義、安心、連帯。
どれも否定しきれないものばかりなのに、それらが揃ったときに戦争が孵化していく。
語り口は終始静かで、だからこそ読み手自身の経験や記憶と重なります。
これは遠くの出来事ではなく、自分の足元で起こり得ることなのだと、気づかされる。
お題「卵」を、思想と感覚の両方で使い切った作品でした。
短くても、読後の余韻が深く残る一編です。おすすめします。