卵の中の変態(メタモルフォーゼ)が運命を決める――

惑星アトラクトスは、希望として提示されながら、最初から「人間であること」を試してくる物語でした。

移住、進化、適応――どれも未来を示す言葉のはずなのに、この作品ではそれらが
恐怖として積み重なっていきます。

印象的なのは、卵型ロケットという装置です。

守られているようで、実は逃げ場のない場所だったと気づいた瞬間、物語は一気に後戻りできなくなります。

音のない映像、届かなかった警告、選択肢として与えられる死。

合理性の顔をした残酷さが、読後までじわじわと残ります。

人間を残すために、人間を捨てる――その矛盾が、SFとしてとても誠実でした。

卵が孵るとき、そこにあるのは誕生だけではない。

そう突きつけてくる、忘れがたい短編です。

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