虚空の宮廷魔導師の大出世　～「無能」位階の俺、この国最強の魔導師にさらわれて、路地裏の便利屋から王宮務めの魔導師になる～

「その精霊紋さえ『空っぽ』じゃなきゃねぇ……」

聖王国ルミナアーク。この国では、心臓に刻まれる【精霊紋】が人間の価値のすべてを決める。 無色の紋章を宿し「無能」と蔑まれたアレンは、王都の路地裏で細々と「便利屋」を営んでいた。

だが、彼には誰にも言えない秘密があった。 それは、前世の物理学者としての記憶。
そして、無能の証とされる【虚無】の紋章が、実は世界の法則（コード）を書き換える「初期化と再定義」の権能であるという事実を。

そんなアレンの元へ、ある日、豪華な馬車が乗り付ける。 現れたのは、王国最強の魔導師「氷華の魔女」こと、公爵令嬢のリゼロッテ。 彼女は驚愕する住人たちの前で、汚れも厭わず平伏し、涙ながらに訴えた。

「ようやく見つけました、我が師匠。……もう、二度と離しませんわ」…続きを読む