たい焼きの匂いが残る、未来のノスタルジー

 静かな路地裏で語られるリルの独白は、可愛らしさと切なさが同時に胸に残ります。たい焼きを欲しがる素直な気持ちの奥に、失われた存在への想いや、生き延びてきた時間の重みがそっと滲んでいて、読んでいるうちに自然と心が温かくなりました。機械と人間、過去と未来の境目をやさしくなぞる文章がとても印象的でした。

 SFが苦手な人や、少し疲れている人、優しい余韻の物語を探している読者に、ぜひすすめたい作品です。

その他のおすすめレビュー

悠鬼よう子さんの他のおすすめレビュー1,240