突然ですが、レビューさせていただきます。
可愛らしい語り口に思わず笑い、
気軽なSF短編だと思って読み進めたら、
いつの間にか胸の奥を静かに撫でられていました。
たい焼きを欲しがるアンドロイド・リルの視点はとても愛らしく、
その無邪気さの裏に、喪失と孤独、そして“生き残ること”の重さが丁寧に織り込まれています。
ジャンクの丘、ホログラムの月、レモンの木
どの情景も柔らかいのにどこか懐かしく、
優しく世界の中へ連れていってくれます。
印象的だったのは、
たい焼きが単なる好物ではなく、
「愛された記憶」
そのものとして描かれている点がツボです。
食べたい、という小さな欲求が、
生きる理由や前へ進む力に変わっていく過程がとても美しかった。
軽やかで、少し切なくて、でも確かに前を向ける。
短編ながら、世界がこれから続いていく予感を残してくれる作品だと思います。