概要

限界を知っているから、踏まない。それが本物の技術だった。
藤井玲が夜の峠で追い求めるのは、ベストタイムではない。
ベストより0.5秒遅く――壊さないための、精度だった。
整備科で学びながら、玲は一人、トヨタ・86を走らせる。誰かと競うためではなく、自分が自分でいるために。
同級生の水原圭吾は、承認欲求に溺れ、SNSとチューニングに走る。派手な走りが「本物」だと信じて。
ある夜、玲は峠で一人の女性と出会う。彼女もまた、本物のドライバーだった。
――踏めたのに、敢えて踏んでこなかった。――それが、いちばん上手い。
年上の彼女からの言葉に、玲の心は静かに揺れる。
本物と偽物。技術と承認欲求。そして、理解から始まる恋。静かな峠で、すべてが交錯する。
誰も見ていなくても、変わらない。それが、本物の走りだった。
  • 性描写有り
  • 連載中39
  • 94,814文字
  • 更新
  • @karinkurum

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