悪魔のフロイトが悪魔でないことの証明をする物語

  本作の主人公はフロイトです。ええ、あの有名な精神分析学の人です。
 本作の特異なところはそのフロイトが地獄の公爵であるところです。
 彼は悪魔側の人間なのですが、うまく人間たちの社会に溶け込んでいます。
 彼はウィーン大学で学者として普段は働いているようです。

 フロイトは悪魔側の人間なので、当然、悪魔の側に立ちます。
 世に蔓延る悪魔たちを祓おうとするエクソシストから同胞を守るために、悪魔にとりつかれている人間の奇行を、彼はあくまで人間の行動に過ぎないと心理学的に説明しようとします。

 しかし、ある依頼で訪れた家で、悪魔に取り憑かれた少年に対して、かなり苦労させられることになります。
 彼は天井に張り付いたり、十字架に触れて火傷したり、「どう見ても悪魔じゃん!」って感じですが、フロイト先生がどうやって心理学でその現象を説明するか、是非実際に読んで確かめてみてください。

 また、今回も伏線が巧妙に張られており、終盤には驚くような真相が待っています。
 さすがだなと唸りました。とてもおすすめの作品です。

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