精緻な文章で描かれる蛇神と人間の物語

 これはある昔話だ。

 柚木耶と奈津野という蛇の神がいた。奈津野はある娘を村人たちから嫁として献上される予定だったのだが、その約束が反故にされてしまう。
 柚木耶は人間たちに憤慨するのだが、どうやら人間たちに怒っていない奈津野のことも腹立たしいようだ。
 人間たちにもどうやら事情があるようだが、後に人間たちは蛇神にとんでもないことをしようとする。その結果、どうなるか……それはあなたの目でたしかめていただきたいです。

 伝承にありそうな重厚な話が格調高い文章で紡がれていました。とても素晴らしい作品です。
 また人間と神の関係とか人間のエゴとか、そういうものについて考えさせられるような物語でもありました。

 短編とは思えない満足感があったので、是非読んでみてください

その他のおすすめレビュー

桜森よながさんの他のおすすめレビュー267