アタヲカオ様の『白の模倣者(イミテーター)』は、ただのミステリーではありません。「白」という色彩に込められた純粋さや危うさを、登場人物たちの心の動きや美術の世界と重ね合わせて描き出しています。美しい表現と静けさのなかに潜む痛みや疑念、そして真実を見抜くまなざし。読み進めるほどに、白が「美」や「罪」だけでなく、人間の弱さや繊細な心情も浮かび上がらせるのが印象的です。
アートや文学、美術館の空気が好きな方、登場人物の心の揺れを丁寧に味わいたい方、本格ミステリーを静かに楽しみたい方にぴったり。感受性豊かな読者なら、優子や教授たちの葛藤に共鳴し、読後も余韻が長く残ると思います。美しい文章で描かれる「白」の物語、ぜひ手に取ってみてください。
極めて繊細な色の一つである『白』――その色の種類は優に200を超える。ブレない白を基調とした先の読めない展開と謎解き要素が魅力的な本作。
美しい物語のさなか、事件は起きる。
贋作との違いを見抜く類稀な審美眼が失われた。
それは微に入り細を穿つような慧眼で贋作を見抜いた優子だった。
裏ではその事実を恐れ、悪に手を染める存在が。
一体、誰が彼女を殺したのか?
そして、水を弾く白が施された彼女の遺体。
その本当の意図とは?
心を白く広げて物語の美しさを感じるもよし。
頭の中を黒のイメージで悪を炙り出すのもよし。
芸術的な筆致で描かれる謎の数々。
贋作を見抜く美術的なセンスの光る本格ミステリです。
美術館で少女が“白だけで絵の真贋を見抜く”──
その三日後、探偵事務所に届く“白い遺体”のニュース。
その違和感から、物語が動き始めます。
絵に残された白、作品の持つ白、そして彼女が感じ取った白の違い。
ひとつの色が、贋作と事件のどちらにも関わりはじめる展開がとても面白い。
美術の専門知識がなくても読みやすく、絵がわかる人ってかっこいい……となんだかとても憧れました。(自分は知識ナシです)
手がかりを追っていくうちに“白”というテーマが少しずつ物語を膨らませていく。
謎を追う面白さと、美術を扱う作品ならではの雰囲気が合わさったミステリーです。
本物の白を見分けることのできる美大生・長谷部優子。
彼女はやましろ美術館にて開かれた展示会で、とある絵を贋作であると見抜く。
そしてその三日後に、川辺でミレイ作『オフィーリア』のような姿で、遺体となって発見された。
アイリス探偵事務所の御影遙と西村太一は、贋作の調査の時に彼女を見知っていた。
彼女の死についても調査を開始するのだが……。
絵画の世界をモチーフとした、静謐さと狂気に満ちた傑作ミステリーです。
とにかく、事件前と事件後を交互に展開させながら進んでいく物語構成が素晴らしい!
贋作調査の内容と長谷部優子の死の真相に近づきながら、最後にこの二つの事件が合わさるとき、本格ミステリーとしての見事さと悲哀のドラマが待ち受けておりました。
短編ながらにして、そうとは思えないほどの複雑かつ深みのある悲哀の是非ともご一読を!!!
物語のカメラは、美大生・長谷部優子の生前と死後を、『Red Genesis』探偵メンバーの視点で追っていく形式になっている。
話が進むたびに事件の輪郭が見えてくるのに、手応えをつかむ前に別の謎が顔を出し、時系列や関係図を考えるのがますます楽しくなってくる。
物語を彩るのは、美術に親しんだ人なら誰もが知る名画と、まだ名が広く知られていない画家たちの作品。そして、それらの間に置かれる「白」が、静かに作品世界を締めている。
最終話まで全体像をつかみきれなかったが、読み返してみるとヒントはすでに前話まででしっかり揃っていた。
短編でここまで考える楽しさを味わわせてくる構成は、本当に見事だと思う。
アタオカオさんのカクコン出品作。幻想的な雰囲気の絵画ミステリーです。
ストーリーは、ヒロインの優子が、「ミレイのオフィーリア」のように水辺に浮いた死体となったところから始まります。
美大の才媛だった優子は、3日前に、長野のとある美術館を来訪し、展示物のフジタの絵画を見て「これは偽物。白が死んでいる」と看破し、別室で佐伯祐三を見て「これも。。この光は…?」と疑問を呈するのです。「白」に対する独自の観察眼を持っているのです。
そこから物語は静かに動き出します。優子を殺したのは誰なのか。恋人の青山か、贋作士の佐竹か、それとも。。
松本清張の「真贋の森」を思い起こさせるミステリーでした。最後ちゃんとピースがカチャカチャはまって、胸にストンと落ちましたよ。描写も情景も美しく、ストーリー展開も見事。
これはお勧めです。