忘れようとも歩み寄ってくる過去

時代の理不尽に押し流されていった男を中心に描いた、ホラー作品です。

男は新選組の副長にまで至った武の者。

しかし、時代は武だけの台頭を許さず、加えて武だけが力に非ず。

知らずの内に大切なものを取りこぼし、礼節によって芯たる武すらも取りこぼし。

失意に塗れ、手遅れな真実を聞かされ、男の一生とは何だったのか。

時代小説らしい細やかな文体と、過不足なく進んでいく展開が魅力の作品です。

ぜひ読んでみてください。

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とんがらし地蔵

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