美しいハイファンタジー作品
- ★★★ Excellent!!!
アーシェ溪谷。
その近くには龍が住んでいるという。
そんな場所に、ある貴族の少年が馬車に乗ってやってくる。
彼の名はシュミセル・リンクス。
この場所には、龍鱗剥ぎの現場をこの目で見題材にということで、訪れていた。
シュミセルは龍鱗剥ぎの空狩人であるレオムと供に裂空鳥に乗って空を飛ぶ。
そこで彼が体験する非日常の数々。
シュミセルは屋敷に帰ると、レオムに向けて手紙を送った。しかしなかなか返事がこない。季節が一つ巡ってようやく手紙が送られてきたのだけど、その内容は……
……ここから先はあなたの目で確かめるべきでしょう。
と言いつつ、手紙の内容について少しだけ触れると、おそらくシュミセルにとって衝撃を受けるようなことがそこに書かれていたんじゃないかと思いました。
シュミセルとレオムは身分に大きな隔たりがある。その乖離はお互いの状況に対する相互不理解を生んでいるように感じますが、いつかその残酷な差違が小さくなればいいなと、本作を読んで思いました。
丁寧な文章で紡がれていて、設定や世界観もよく作り込まれている、美しいファンタジー作品でした。とてもオススメです。