あくどい奴ら! でも、その「あくどさ」にも超絶なオリジナリティが!!!

 とんでもない蕎麦屋だ! ととにかく圧倒されることになります。

 「藤庵」と看板の出ている一軒の蕎麦屋。そこに深刻そうな顔の客がやってくる。
 その客はどうも「祠」を破壊してしまったらしく。そのために「呪いが解ける蕎麦」を食べたいという。

 そうやって蕎麦を食べて帰る客だったが、この店の蕎麦には「とある仕掛け」があって。

 なんという、悪徳な奴らか! と読者は真相を知って最初に考えることになります。
 でも、この蕎麦屋で行われている「悪徳な所業」のオリジナリティの高さに、気が付けば夢中になっていることでしょう。

 店にやってくる客たち。その客が抱えている「問題(というか蕎麦屋の仕掛けたこと)」が、とにかくスケールが大きい。

 一話一話のエピソードで出てくる内容が、その気になれば「一個の作品世界」を構築できるくらいのポテンシャルを持ったものになっています。

 「今度はこのネタで来たかとか「このコンセプトはさすがに嫌すぎる!」となるとか。
 全四話の短編ですが、その中にいくつもの世界観が詰め込まれているので満足度がとても高いです。

 年末と言えば蕎麦。そんな蕎麦屋を舞台にしたスペシャルな物語群。どうぞ味わってみてください!

その他のおすすめレビュー

黒澤 主計さんの他のおすすめレビュー2,070