笑えるし、恐怖も味わえるし、考察もできるエッセイ

 この作品を読んだあと、まず思ったのは、「これはコメディ……いや、ホラー? それともミステリーなのか?」 
 ということ。
 いや、最後まで読んでいただければわかるのですが、先ほど挙げた全ての要素がこの一つの作品につまっているんですよ。

 このエッセイは、筆者が2008年にあるカラオケ店に行った時の体験談なんですけどね、そこでいつもは絶対に空いてない部屋に入ることができたみたいなんです。

 そしてその部屋に入った瞬間、部屋の電気が明滅したり、机が動いたり、コブクロの蕾が勝手に流れたり……などなど、怪奇現象が次々と起こる(一部、明らかにそうでないのも混じっているが)。怖い……!

 結局、あの怪奇現象はなんだったのか。
 いろいろと考察できて、それがまた楽しい。

 これはカラオケに行く人、特にヒトカラをする人は他人事ではないと思います。

 勢いがある文章で、怖がらせてきたり笑わかせてきたりする、素晴らしいエッセイでした。

 コブクロの蕾を流しながら読むとよりいっそう臨場感が増すので、そうすることをおすすめします。

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