心温まる優しい物語

 あるところに、サンタになりたいと願うおじさんがいた。

 なぜサンタになりたいのか、それはある子供を喜ばせたいと思ったからだ。
 その子はお母さんの仕事が忙しくて一人家でお留守番をしている。

 そんな寂しそうなあの子のために、男は本物のサンタに特訓をしてもらうことにした。

 それから努力する日々が続くのだが、しかし、そもそもあの子の願いはなんなのだろうか?
  
その願いが判明した時、この作品が内包しているテーマやメッセージが浮き彫りになる。

 誰かを喜ばせるために、特別な存在になる必要はない。
 クリスマスを過ごす多くの家庭で見られるであろう、ありふれた光景。それが大切なのだと。特別なことはいらないのだと。誰かを喜ばせたいという思い、また喜ばせるための努力、それ自体が尊いのだと、私は本作を読んで強く感じさせられた。

 心温まる物語の中に潜む深いメッセージ、是非あなたも本作を読んで受け取ってみてください。

その他のおすすめレビュー

桜森よながさんの他のおすすめレビュー263