現実とファンタジーをつなぐ、新しい“救済”の物語

 この作品『ボクは、必ず君を救う。たとえどんな姿の君でも……』は、玲奈や剣奈、千剣破といった個性的なキャラクターたちが、絶望と希望のはざまで懸命に生き抜く姿を描いた、とても心に響く物語です。

 玲奈は阪神淡路大震災の喪失を背負いながらも、他人や社会を信じられず苦しみ続けます。しかし、剣奈や久志本家との出会いによって、少しずつ「家族」や「信じること」の意味を知り、心の奥に小さな光を見いだしていく過程が、本当に繊細で温かく描かれています。

 現実と異界が交差する二重構造も魅力的で、剣奈が“戦闘巫女”として異界で戦うシーンは、現実世界での苦悩やトラウマと絶妙にリンクしており、現実の厳しさとファンタジーの救いがバランス良く物語に織り込まれています。特に「信じること」「家族の再生」が核心に据えられているので、読み終えた後には静かな勇気や優しさが心に残ります。

 家族や社会のあり方に疑問を感じている方、現実と向き合いながらも少しの希望を見つけたい方、震災や社会問題に興味がある方、そして感情を大切に読みたい方におすすめです。重いテーマを持ちながらも、優しさと再生への祈りに満ちた物語です。

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