車に撥ねられて体が浮き、異世界に行くのかと思ったら手術室でした

今の時代、流行っているのはクルマに跳ね飛ばされての異世界転生、ところがどっこい異世界は現れず、待っていたのは手術室……。

から始まるこの作品、恐ろしいのはどこまでもあり続ける現実とままならなさを背中いっぱいに背負うことになった筆者の身体。

カラカラの入院生活の中でも、じっと周りを伺ってそれを自分の感性で記録して、それをこのように作品に……、ほんとうに素晴らしい。

世の中にはよくある事故の記録なのかもしれないけど、でもその記録の中には人間がいるんだということを考えるきっかけとして最上の作品だと思います。

この世は理不尽に溢れています。

本当に安全な場所って存在するのでしょうか。
家でまったりしていても、隣の家が火事を起こして飛び火するかもしれない。
可能性は低いですが、0ではないのです。

気にすぎたら生活はできない。でも、頭の片隅に突然理不尽に襲われることもあるのだと理解しておく必要もある。

そういったことを、誰かが言わなくてはいけないのです。

そんな世界で、そういった心構えをさせてくれるエッセイが誕生しました。

重い題材ですが、作者様の文章力とユーモアも合間って次へ次へと読むことができます。

ぜひ、ご一読を。