それぞれの心の機微を見事に描写した作品

時は江戸。明和の大火を下地にしたお話です。
中心となるのは、人や物の邪気(雨)を祓うことのできる白川涼雨。小石川養生所で患者を診ています。
彼は一貫して患者のために丁寧に治療する良き心の医者であり、穏やかで優しい物腰の人物です。そんな彼が、多くを焼くことになった大火に関連した事件に関わるさまを描いたのが、本作です。

大火で焼き出された少女おなつ、養生所見廻り同心である樋口慎之介の心をその「雨供養」で救っていく白川。大火の下手人とされる真秀が登場してからは、心を抉られるような展開が待っています。

時代背景に合ったリアリティに、関わる者たちの打算。やるせなさ、深い悲しみと愛情が怒涛のように押し寄せてきます。
読後は、きっと様々な思いの余韻が胸に残ることでしょう。

ぜひ、じっくりと読んでみていただきたいお話です。

お薦めです(^^)!

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