形骸化する時代の必然。門外不出の秘術を携えて様々な人の心の苦しみを救う

道具の扱い方は人間で決まると言いますが、
なるほど、諒雨の治療方法の仔細を聞き、その力自体を自分の守りにしたくて側に置くのではなく、治療過程で必要な「秘密を知る」という部分だけを重要視しようとするという展開がとても面白いです。

しかし白川家も「他人の秘密を知ることになる」ということで邪法や秘伝として来た自覚はあると前に諒雨も言っていたので、自分の技が広く知られることになれば本当に心の病を治して欲しいという願いではなく、秘密暴露の手段として悪用しようとする者が出て来るのは想定していると思います。

諒雨の患者に話す時の穏やかに、自分が今からやることを丁寧に理論的に説明出来、出来ることと出来ないことも明確に話す、いかにも医者らしい話し方や眼差しがとてもいいなと思っているのですが、
この辺りから医者としての信念のようなものも試されることになりそうですね。

とてもこれからの展開興味深いです。

個人的にこの雨供養の話が、江戸時代背景というのも設定が絶妙だと思います。
現代ほど何もかも自由ではなく、まだ人間の育てられ方などにも武家や公家などの慣習が影響を及ぼしてる時代、
「その身分では出来ないこと」などもまだあった時代です。
でも、心は立場など関係なく全ての人間に存在するもので、
病んだりする可能性も全ての人間に共通します。

まだ現代に比べて、崩れ始めているとはいえ、人間の在り方を身分や職業で型にはめられる時代に、「心」という誰しもが等しく持つものが病んだ時、諒雨が身分に関係なく治療に当たるというのが、非常に現代的な斬新さが、この時代設定だからこそ際立ちます。