失われた記憶の先に待つ、せつなくも美しい和風恋愛ファンタジー!

紀貫之の『土佐日記』を大胆かつ幻想的に再構築し、ホラー風味に味付けした歴史ファンタジー作品の傑作です。

作品の最大の魅力は記憶を失くし、少年従者として紀貫之に仕える少女と、彼女を見守る貫之の甥の瑞々しくもどこか危うい関係性です。

男装する少年を常に優しい目でみる男の頼もしい姿に、胸が高鳴ること請け合い。そこは糖度120パーセントの作者さま作品。
けっして裏切りません。

さて、嵐にあい、村に漂着して、不気味な「物の怪」と出会ってから物語は佳境に入り、独特の緊張感を漂わせながら進んでいきます。

作者さまとしては珍しい志向の作品で、その意味では、過去作品とは異なる新鮮な綾束乙様作品を読むことができます。

この物語で、私は貝塚市を知り、そこにある特殊な神社の存在をしりました。関西方面に行く機会があれば、ぜひ訪れてみたいと思わせる作品です。

おすすめです。
どうぞ、お読みください。

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