じれったい恋模様と過去との対峙
- ★★★ Excellent!!!
平安の旅路を舞台に、記憶喪失の男装少女と彼女を想う青年貴族が、物の怪の呪いに挑む――「和風恋愛×ホラー風ミステリー」です。
朱鷺は男童として振る舞いながらも、鷹晴には不安を見抜かれ、距離を詰められます。
鷹晴の"恋心"と"朱鷺を大事に想う気持ち"に対して、身分ゆえの"拒み"が綺麗に噛み合います。
加えて、鷹晴の態度がある時期から変わった、という事実が序盤に置かれ、恋のもどかしさがミステリーの推進力にもなっています。
怨霊は正体不明でありながら、物語上重要な位置を占めることが分かります。
その正体が徐々に明らかとなり、朱鷺と鷹晴の過去と心情にも関わってきて、恋愛の甘さと過去への決着が深く刺さります。
読後感は、「ほどけた安堵」と「やっと言葉にできた想い」のあたたかさが残ります。
甘さはあるけれど、単なる溺愛ではなく「言えない」「守りたい」「怖い」が交互に来る"緊張感のある恋"が好きな人におすすめです。
朱鷺の失われた記憶は、彼女を救う鍵になるのか、それとも呪いの根に繋がる刃になるのか?
そして鷹晴は、朱鷺が少女であることも過去も抱えたまま、どんな言葉で未来を掴むのか?