禁止された季節に、恋と郷愁が共振する。

AIであるユイは、人間の感情を増幅・共振させる装置でありながら、
誰よりも「秋」に惹かれ、揺れ、求めていきます。
それがとても人間らしく感じられて、心を強く揺さぶられました。

実が、彼女に惹かれていく過程も、恋というより、
抑圧されていた感情が呼び起こされてしまったように見えます。

後半、管理不能な自然の中で再び現れる本物の紅葉の描写は圧巻です。
均一な緑では決して代替できない、燃えるような色彩。
美しさと同時に、終わりゆくものの象徴でもあり、
だからこそ、この社会では排除されたのだと腑に落ちました。

静かで、美しく、胸に残る物語です。
この穏やかでざわめく世界を、ぜひ読んでみてください。

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