ログアウトできないVR都市で、僕らはただ“いつも通り”を続けている 　──壊れゆく仮想都市の中で、日常を守ることが一番の戦いだった。

メンテ明けにログアウトボタンが消えた。空はいつも通り青く、ベーカリーは朝5時にパンを焼く。だが冷蔵庫の温度が勝手に上がり、電車が時間を忘れ、ゴミ収集車はルートを見失う。〈ヴェア〉は「生活」の全部を模した世界だ。壊れる順に、人は不安に呑まれる。段取りが得意なトワは配達・炊き出し・停電対応・迷子の案内を回し、アキは危険区画の踏破と現場の即断で支える。二人は“日常をつなぐ作戦”を毎日更新するが、サーバーの深部では“再起動＝街の消去”を告げるタイマーが動き始めていた。

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結城トワ（15）：現実は引っ込み思案。VRでは段取りと現場最適化の達人。

灰原アキ（16）：VR配達員。軽快、即断。「やると決めたらやる」。

ミカ（年齢不詳）：街角端末から話しかける運営AIの残滓。嘘はつかないが言わないこ…続きを読む