悪意と優しさの境目を

一見すると非日常の設定なのに、描かれているのはとても身近な感情ばかりで、読み進めるほど現実との距離が縮まっていく感覚がありました。

誰かを責めきることも、安易に救いを用意することもせず、「そうなってしまった気持ち」を、ただ丁寧に見つめていく視線が印象的です。

そこには正解も断罪もなく、けれど確かに、残された感情の重さだけが静かに残ります。

読み終えたあと、自分の中にある「悪意」にも、目を背けず向き合う必要がある。そう感じることができた作品でした。

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