春の庭で、音楽と蝶をそっと導く

朝の光や風の匂いから始まる導入が心地よく、自然と庭先に立っているような気分になりました。
モンシロチョウの動きや空気の温度が、言葉の間から静かに立ち上がってきます。

魔法のタクトと音楽という少しだけ不思議な要素が加わっても、世界はあくまで穏やかで、日常の延長線上にあるのが印象的でした。
名曲たちが蝶の動きと重なる場面は、想像するとどこか微笑ましく、軽やかなリズムが伝わってきます。

季節の一瞬をそっとすくい取った、とても気持ちのいい短編でした。