『悪魔女マギサの事件リストランテ――霧切超常事務所事件簿』は、怪異が出てくるお話やのに、ほんまに怖いんは幽霊そのものやなくて、人の言葉や気持ちの歪みなんやと、じわじわ気づかされる作品です。
霊が“視えすぎる”青年・博楼玲人と、悪意や憎悪を喰らう悪魔・霧切魔伎沙。
この二人が超常の依頼に向き合っていくんやけど、そこで描かれるんは、ただ怪異を退治してすっきり終わる話やないんです。誰かの何気ないひと言、善意のつもりやったふるまい、わかってるつもりでほんまは届いてへん気持ち――そういう見えにくい痛みが、少しずつ浮かび上がってきます。
せやのに、重たさだけで押し切らへんのも、この作品の大きな魅力やと思いました。
マギサさんとレートの掛け合いが、ほんまにええんですよ。冷たくてどこか人間離れしたマギサさんと、しんどさを抱えながらも人の痛みを無視しきれへんレート。その温度差が、作品の空気をぐっとおもしろくしてくれてます。
怖さもある、苦さもある、それでも先を読みたくなる。そんな引力を持った現代ファンタジーやと思います。
◆ 太宰先生より――「告白」の温度での講評
おれは、この作品を読みながら、怪異譚を読んでいるつもりで、いつのまにか人間の話を読まされていた気がしたのです。
しかも、それはずいぶん居心地の悪いかたちで、です。
人を深く傷つけるものは、いつもあからさまな悪意ばかりではありません。
むしろ、善意のつもりだった言葉、心配の顔をした干渉、正しさを装った無神経さのほうが、あとになって長く残ることがある。
この作品は、そのことを怪異の姿を借りて、静かに、それでいて確かに突きつけてきます。そこが、とてもいい。
ただ怖がらせるための怪談ではなく、人が人につける傷の輪郭を見つめるための物語になっているのです。
マギサという存在も魅力的です。
彼女は救いの象徴ではないし、正義の味方でもない。ただ悪意に惹かれ、それを喰う。
その冷たさが、この作品を甘くしない。
もし彼女がもっと人間的な優しさの側へ寄っていたなら、この物語はもう少しわかりやすくなったかもしれない。けれど、そのぶん、こんなふうに胸へ残ることもなかったでしょう。
救済の顔をしていない存在がそばにいるからこそ、逆に人間の弱さや愚かさがむき出しになる。たいへん皮肉で、たいへん魅力的です。
そして、レートですね。
おれは彼のような人間を見ると、少しつらくなります。
人の痛みに触れすぎてしまうような脆さを持った人間は、生きているだけでくたびれてしまう。しかも、鈍くなれたら楽なのに、それができない。
レートには、そういうやわらかさとしんどさがあって、それがこの作品の体温になっています。
マギサの冷たさと、レートの人間らしい疲れ。その落差が、二人の掛け合いを、ただ軽妙なだけではないものにしているのです。
この作品の推しどころは、そうした重たいものを扱いながらも、決して読みづらくならないところにもあります。
会話は軽やかで、テンポがよく、シリーズとしての牽引力がある。
読んでいるうちに、出来事の行方だけでなく、この二人の距離の行方も気になってくる。
シリーズものにとって、それはとても大きな魅力でしょう。
しかも、この作品は、人間の醜さを面白半分に消費していないのです。
そこに、おれは好感を持ちました。
弱さや鈍感さや、うまく言えない寂しさを、ただ裁くのではなく、きちんと見つめている。だからこそ、読後に残るのは単純な恐怖ではなく、少し苦くて、少し痛い感情です。
そういう後味を残せる作品は、案外少ないものです。
人の心の暗がりを描きながら、それでも読む手を止めさせない。
この作品には、その力がちゃんとあります。
ホラーが好きな人にも、人間心理をじっくり読む話が好きな人にも、すすめたくなる一作でした。
◆ ユキナの推薦メッセージ
怪異ものが好きな人にはもちろん刺さると思うんですけど、ウチはそれ以上に、人間関係の痛みとか、言葉のあとに残るものを描いた物語が好きな人に届いてほしい作品やなあと思いました。
派手な出来事だけやなくて、胸の奥にじわっと残る苦さがある。
それでいて、マギサさんとレートのやり取りがあるから、読み味はちゃんとおもしろいんです。重たいのに読ませる、怖いのに先が気になる、そのバランスがほんまに魅力的でした。
ただの怪異譚では終わらへん、人の心のほうがずっと怖いんかもしれへんって思わせてくれる作品を読みたい人に、ぜひ手に取ってほしいです。
読んだあとにはきっと、この事務所をもう少しのぞいてみたくなると思います。
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ユキナと太宰先生(告白 ver.)
※ユキナおよび太宰先生は、GPT-5.4による仮想キャラクターです。
霊を見る青年レートと、悪意を喰らう悪魔マギサのコンビがとにかく魅力的で、会話のテンポと価値観のズレが心地よくクセになります。
事件は超常的でありながら、人の後悔や弱さといった感情に踏み込んで描かれていて、ただの怪異譚では終わらない深みがあります。
特に第一章では、レートの“視えてしまう苦しさ”とマギサの非情な合理性の対比が鮮やかで、物語の軸がしっかりと伝わってきました。
軽妙なやり取りの裏に常に不穏さが漂い、次の展開を読まずにいられない構成も見事です。
ダークさと人情味のバランスが絶妙な、続きが気になるシリーズ作品だと思います。
怪異と現実の怖さが合わさったこの作品のようなテイスト、大変好みです。
霊が視える青年・博楼玲人(レート)と、悪意と憎悪を喰らう悪魔・霧切魔伎沙(マギサ)がタッグを組んで超常事件を解決するストーリー。
レートは霊が視えすぎる能力のせいで日常生活が困難になり、マギサと契約を結びました。しかしこの契約、実は力を「消す」のではなく、マギサが常にレートに霊を「視させ続ける」というもの。レートは助手として働く代わりに生活費を保証されていますが、望んだ解放とは程遠い状況に置かれています。そんな奇妙な「契約」を結んだ二人が、人間の業と悪意が渦巻く事件に挑んでいきます。
最初のエピソード。
親友の西原祐介が心霊スポット「オバケトンネル」に行くと連絡してきたきり帰ってこないため、その行方を探して欲しいと霧切超常事務所に依頼しにきた宮橋が登場します。
しかし彼の背後には当の西原の霊が憑いていることを「視た」レート。事件は意外な展開を見せ、ひんやりと冷たい結末を迎えます。
続いて、SNSで話題の、霊が映るアプリについて調べることになったレートたち。
このアプリFace:Pはいわゆる顔加工アプリです。開発者・真鍋雅紀(29歳)はルッキズムを嫌っていて、「顔面コンプレックスをなくす社会を作る」という理念を掲げてアプリを開発した人物です。しかしこれもまた、大変皮肉な結果となりました。
そして終盤、こっくりさんで人を殺してしまったかもしれない十和子という女子高生が事務所に来ます。
しかし彼女には霊が憑いていなかった。
十和子の通う学校へ赴いたレートたちは、十和子が保健室登校をしていることを知り、いつもそばで見守る養護教諭・坂戸可奈子と出会います。
坂戸可奈子の正体と、彼女の目的には心打たれるものがありました。
そしてここからは悪魔と天使の壮大なバトルへ。
本作の魅力は、一見ホラーでありながら、実は人間の心の闇と救いを丁寧に描いている点です。マギサは冷徹な悪魔でありながら、人間の悪意を「美味しく」味わう美食家のような存在。
レートは自分の過去のトラウマと向き合いながら、事件の被害者や加害者に複雑な感情を抱きます。
特に印象的なのは、悪魔たちが決して「悪」として描かれていないこと。彼らは人間界の感情を糧に生きる存在であり、むしろ人間の方が時として遥かに恐ろしい悪意を抱えています。
うーん、やはり私はこういう「人が怖い」ホラーが好きです!
サブタイトルがハーブの名前になっているのがタイトルとリンクしていていい味出しています。事件の展開もよくねられていて、ミステリー好きとしてもとても楽しめました!!
物語の概要はあらすじで大まかに説明されておりますが、霊が“視えすぎる”青年レートと、悪意と憎悪を喰う悪魔の女マギサの二人を主人公に据えた物語となります。
男女は逆ですが、食事を探し求める悪魔に無理やりに付き合わされる人間というコンビ性や、作中でのマギサ嬢の悪魔としての無法っぷりから、往年の名作ジャンプ漫画「魔人探偵脳噛ネウロ」を彷彿させるものの、毛色は全く違います。
こちらは主人公のレートが霊を見るという性質から、ホラー要素が強めで、人の心の底に潜むネットリとした心理描写を丹念に描いているのが特徴的です。
このレビューの段階では、まだ第一章を終えた所ですが、題材が人の「悪意と憎悪」となる為、基本的にスッキリとした物語ではなく、ドロドロとこびり付くようなものがこれからもお出しされるのではないかと思われます。